何をどうしていいか分からなくても、手解きをしながら導くスタンス
美容商材卸の二代目社長からのご依頼でランディングページ制作を請け負った話です。大規模な会社が数社しかない美容商材卸の業界ですが、この企業は先代から受け継いだトップクラスのシェアを持っていました。未だ電話やFAXなどの伝統的な商慣習が残っている業界において、新たに開業した美容サロンへの販売を強化したい。これまでの習慣に捉われないアプローチが必要と考え、web広告への投資を決めたとことでした。
相談の中で一言目にいただいた悩みが、「ランディングページというものを作りたいが、どうやって依頼すればいいか全くわからない」という言葉。これまでリアルなコミュニケーションや広告媒体で施策を打ってきた方にとって、この悩みは当然のものです。
伝統的な商習慣を重要視する業界においては、こういったクライアントが少なくありません。0からWebマーケティングを成功させることに苦労はあるものの、その過程が信頼関係に繋がるため、手間を惜しまずできる限りの手解きをさせていただくのが当社のスタンスです。
思っていることを引き出し整理するほど、解像度の高いページに
ランディングページを制作する場合に、よく制作会社から言われるのが、「原稿支給でお願いします」といった言葉ではないでしょうか。この原稿支給、実はとてもネックなのです。実際に原稿を書く場合、ページに何を、どのような順序で記載するかの構成案がなくては難しいもの。「原稿支給でお願いしますと」いう言葉は、「構成案もそちらで考えてください」と同義なのです。ランディングページを初めて制作するとなった場合、非常高いハードルとなります。
今回やりとりした二代目社長は、Web施策の経験こそないものの、情報感度が高く、ユーザー像や会社の強みを整理することで良い構成案ができることを理解されていました。かくしてホワイトボードを前にアイデアを出し合い、共同で構成案を考えることとなります。ここで大事にしているのはまず、現時点で思っていることを全て吐き出してもらうということです。制作物をより要望に近付けるほか、ページ制作上の手戻りを減らす意味もあります。
スマホとPCで受ける印象が変わるようにデザイン
二代目社長の想いの中で印象に残り、本制作の肝となったのが、「古くからいる社員が持つイメージをどのように取り入れていくか」という点でした。社長は新たな視点からデザインを一新させたいと思っているものの、社員の一部では今までの落ち着いたイメージは残したいという思いがあったようです。
対立する意見が手戻りや社内の不和を招くことが往々にしてありますが、これらを調和させるのが、デザイン力が発揮される瞬間であり、実際にページとして具現化するのが優れたデザイン会社の役割だと考えています。
「スマホで見た時には可愛く動きがあるように見えて、PCで見た時に落ち着いたように見えるデザインでしてほしい。」
考えた末にデザイナーに依頼したのがこの内容。はじめは意味が分からないとデザイナーに言われました。スマホとPCでデザインを可変するレスポンシブデザインは本来「見やすさ」を高めるために実装されることが大多数であり、この反応は当然かもしれません。しかしこの言葉こそが、社長の想いと葛藤をクリアする最適解だと考えたのです。ここではその後のやり取りは割愛しますが、結果的にはそのイメージの通りのデザインを制作し、社長にも社員の方々にも満足いただくことになりました。
今回対応したデザイナーは、デザインだけでなくコーディングにも高いスキルを持っていました。スマホに慣れたターゲットとPCに慣れた社員の方々の双方に向けた、一歩進んだレスポンシブデザインが実現できたのは、まさにデザイナーの力量によるものです。