「売る」機能を持たなかった新聞社が、DX推進局を発足した新たな挑戦
Qはじめに、貴社の事業内容と担当業務についてお聞かせください。
A弊社は、紙媒体である「神戸新聞」の発行を事業の主軸としながら、「神戸新聞NEXT」などのWebメディアを運営しています。私が所属するDX推進局は、主にこのデジタル媒体に関するマーケティング戦略や企画立案、プロモーション、そして新規サービスの開発までを横断的に担当する部署です。
Q今回、法人向けサービスを刷新するに至った背景には、どのような課題があったのでしょうか。
A新聞業界では紙面の「制作」を新聞社が、「販売」を地域の販売店様が担うという体制で長年にわたって運営してきました。そのため、私たちがエンドユーザーである読者の皆様の声を直接伺う機会が極めて少なかったのです。「どのような情報を、どのような形で求めているのか」を正確に把握できていないという課題がありました。
この課題を解決し、読者起点でのサービス改善を推進するべく、年に推進局が発足しました。読者に関する分析データがほとんどない状態から、顧客理解を深めていくことが我々の最初のミッションだったのです。
Qマーケティングの土台をゼロから構築していくフェーズだったのですね。
Aそうですね。メンバーは記者や営業など、社内の多様な部署から集まりましたが、マーケティングの実務経験がある人間は多くありませんでした。そのため、エンドユーザーの声を直接伺い、サービスに反映させていくという経験が全くない状態からの挑戦だったのです。
法人向けサービスも同様の状況でした。これまでは積極的な営業活動は行っておらず、法人契約は、総務部や広報部門など限定的な利用に留まっていました。その結果、会員数の大幅な伸長を描けないことが課題となっていたのです。今回のプロジェクトは、この状況を抜本的に打開するための、本格的なマーケティング活動の第一歩でした。
戦略設計から支援してくれるマーケティングの専門家を求めていた
Q今回、LPとホワイトペーパーの制作を外部に依頼されましたが、貴社は「文章のプロ」集団だと思います。内製するという選択肢はなかったのでしょうか。
Aおっしゃる通り、文章を執筆するスキルは社内に豊富にあります。しかし、今回私たちが直面していた課題は「表現力」ではなく、その前提となる「マーケティングの基盤」が存在しないことでした。
また、今回は特に法人向けのサービスだったことも外注の決め手となっています。どれほど優れた文章でも、顧客の課題やインサイトを的確に捉えた戦略がなければ、真に価値を届けることはできないからです。そのため、戦略設計という根幹からご支援いただける専門家への依頼を当初から検討していました。
当然ながら、コスト面を懸念して内製を検討すべきだという声はありました。しかし、今回はBtoBの法人向けサービスの営業に活用される制作物です。つまり、企業の意思決定に資する高い品質と信頼性が求められます。その水準を確実に担保し、企業として自信を持って提供できる成果物を得るためには、専門家の知見が不可欠であると判断し、外部パートナーとの連携を決定しました。
最終的な決め手は、対等な立場で意見交換ができること
Q業者選定において、特に重視したポイントは何でしたか?
A最も重視したのは、専門的な知見に基づく「提案力」です。弊社が求めていたのは、単に要望を形にするだけではなく、プロジェクトを成功に導くために対等な立場で意見を交わせるパートナーでした。
以前の取引では、弊社の「新聞社」という肩書きもあってか、遠慮がちにこちらの要望をすべて受け入れてしまう業者様もいらっしゃいました。しかし、私たちの考えが常に最善とは限りません。だからこそ、プロの視点から率直な意見や改善案を積極的に提示し、共にゴールを目指せるパートナーシップを望んでいました。
Q複数の会社を比較検討されたと思いますが、アイコネクトに決めた最終的な決め手は何だったのでしょうか。
A5〜6社ほどのお話を聞いて、最終的に2社まで絞り込みました。決定的な要因は「目的達成への最短ルートを共に考えてくれる提案力」と「優れたコストパフォーマンス」の2点です。
最終候補だったもう一つの会社は価格面で非常に魅力的でしたが、コンテンツの企画や原稿作成などを自社で担う必要がありました。弊社のリソースもすでに限られていたため、マーケティングの基盤構築からご支援いただきたいという弊社のニーズとは合致しませんでした。
アイコネクト社は弊社の状況を深く理解した上で、納得感のある論理的な提案をしてくださいました。初回の打ち合わせの時からプロの視点で提案してくれる姿勢に、信頼できるパートナーだと確信しました。
さらに提供される成果物のクオリティを考慮すると、価格以上の価値があると感じ、コストパフォーマンスの高さも最終的な決め手でした。
柔軟で迅速な修正対応、そして卓越したプロジェクト進行能力が大きな魅力
Q実際の制作進行はいかがでしたか?
A弊社は新聞社であるということもあり、品質に対するこだわりが強い傾向があります。そのため、当初は初稿から第2稿、最終稿という流れを想定していましたが、クオリティを追求するあまり、実際のやりとりは3回から4回と当初の予定を超えました。
通常であれば、私たちのこだわりが強い分、納期が後ろにずれてしまうことが多くありました。しかし、アイコネクト社は弊社の要望に都度柔軟かつ迅速に対応してくださり、最終的にすべての成果物を予定通りに納品してくださいました。タイトなスケジュールの中での卓越したプロジェクト管理能力には、大変感銘を受けました。
Qそのほかに、アイコネクト社を選んで良かったことがありますか?
A同業である新聞社様との豊富な取引実績が、社内承認を得る上で大きな後押しとなりました。弊社のような伝統的な組織では、新規の取引先だと稟議が通りにくいケースも少なくありません。
しかし、アイコネクト社が同業他社との実績をお持ちだったため、上層部への説明もスムーズに進み、迅速な意思決定に繋がりました。担当者レベルでの評価に加え、決裁者を納得させられる客観的な信頼性が、パートナー選定における重要な要素であると改めて認識しました。
リリース後、法人会員数が増加
Q納品されたLPとホワイトペーパーの出来栄えについて、率直な評価をお聞かせください。
Aどちらの成果物も期待を大きく上回る完成度で、大変満足しています。特にホワイトペーパーは、今や弊社の営業活動に欠かせない強力なツールです。
例えば、あまり予算の多くないお客様から費用面での懸念が出た際に、「新聞購読は福利厚生や税務上のメリットとしてもご活用いただけます」といった、弊社だけでは考えつかなかった新しい視点を資料に盛り込んでいただきました。これにより、お客様一人ひとりの状況に合わせた多角的な提案が可能になり、営業現場での提案の質と幅が格段に向上しました。
Qサービスをリリースしてから、どのような成果がありましたか?
A大々的なWeb広告を展開していないにもかかわらず、LP公開後わずか1ヶ月で法人会員数が増加しました。特に、これまで契約がほとんどなかった小規模事業者に向けては、営業リソースをほとんど割かずに、LP経由で安定的にお申し込みが入るようになったのは嬉しい効果でしたね。
弊社での目標契約社数にはまだ完全には達していませんが、初動の効果としては十分に満足しています。LPが24時間稼働してくれる営業マンのような働きをしてくれ、これまでアプローチが難しかった顧客層への情報提供から申し込みまでを自動で完結させる仕組みを構築できたことは、非常に大きな成果です。
また、今回制作いただいたホワイトペーパーは、営業現場でも大いに活用しています。実は、Webに掲載するバージョンと営業担当者が使用するバージョンで表紙のタイトルを変えてもらっているのです。中身は同じなのですが、営業時には「サービス紹介資料」として、Webではより訴求力のあるタイトルで展開しています。これにより、チャネルごとに最適化されたコミュニケーションが可能になりました。
実際の営業現場では、このホワイトペーパーが非常に効果を発揮しています。契約を少し迷われているお客様に対しても、「他社ではこのように使われていますよ」「福利厚生としても活用すれば、経費面でもメリットがありますよ」といった具体的な活用例をすぐに提示できるため、提案の説得力が格段に上がっています。実際の画面や事例を見せると、お客様の反応が全く違うのです。
この結果は、間違いなく今回制作いただいたLPとホワイトペーパーがもたらしたものだと確信しています。
社内に専門知識がなくても大丈夫。マーケティングの土台作りから並走する頼もしさ
Q最後に、アイコネクトをどのような企業におすすめしたいですか?
A弊社のように新規事業の立ち上げなど、新たな挑戦を模索されている企業にこそ、アイコネクト社を強くおすすめしたいです。新規事業において成功の鍵を握るのは、何よりもスピード感です。企画段階のアイデアを迅速に具現化し、市場の反応を見ながら改善を繰り返すサイクルを高速で回す必要があります。
アイコネクト社の迅速かつ柔軟な対応力は、そのプロセスにおいて強力な推進力となると思います。社内に専門知識やリソースが不足している場合でも、マーケティング戦略の基盤構築から成果の創出まで、まさに「伴走者」として事業の成長を力強く支援してくれる、頼れるパートナーです。