BtoBtoCという立ち位置でのマーケティング
BtoBの取引を中心とする企業の中でも、エンドユーザーが存在するBtoBtoC企業におけるマーケティングは独自の悩みを抱えています。それは目先のクライアントの開拓と取引の拡大と、その先の商流を見据えた、エンドユーザーの認知拡大の両輪でマーケティングが必要な点。
しかしながら、マーケティングにおいてはクライアントの獲得が重視されており、エンドユーザー向け施策の予算は限られている…そのようなBtoBtoC企業も多いことでしょう。限られた予算の中で取り組むべき施策として、エンドユーザーの認知度を大きく高める可能性をもつWebマーケティングがしばしば候補に挙がります。そしてその度に、Webマーケティング施策の無数の選択肢ーWebサイトのリニューアルやSEO、広告出稿、SNS運用などから最適な施策を選択し、効率よく進めていく方法について、頭を悩ませることになります。
今回相談をお寄せになった住宅エクステリアメーカーも、Webマーケティングの重要さを知りつつなかなか予算を取ることができないという葛藤の中、プロジェクトを開始することとなりました。
全ての起点はペルソナ構築にあり
創業100年を超える歴史をもつグループ企業の一社であるこのメーカーは、過去に新聞広告を出稿した経験があり、エンドユーザーのペルソナを設定していました。プロジェクトの第一歩として行ったのは、このペルソナの拡張と深掘りです。
エンドユーザーの認知度を高める施策として、まず思い浮かぶのがCMや新聞広告をはじめとしたマス広告でしょう。マス広告はあらゆるユーザーが目にする可能性があることから、あえて抽象度の高いペルソナを設定することが少なくありません。一方でWebマーケティングの最大の特徴とも言えるのが、より「特定の誰か」に情報を届けられる点。それゆえに、より具体的なペルソナを設定し、各施策に落とし込むことが重要となります。
Webマーケティングリサーチの王道である競合サイトや検索キーワードの調査に加え、データから背景にあるエンドユーザーの悩みや思考をいかに細分化できるか。幾度にわたるディスカッションにて、リサーチデータに基づいた提案を行いつつ、商材のプロとしてのメーカーの意見を伺う。これこそがより精度の高いペルソナを構築する唯一の方法に他なりません。
懸念の払拭には、綿密な検証を
実施する施策が事前に決まっていないこのプロジェクトで、最終的に最優先施策として設定したのがSEOを目的としたオウンドメディアの立ち上げです。SEOは成功すれば継続的なアクセスを見込めることから、魅力を感じる企業は多いでしょう。他方で、0からSEOを行う場合、商材によっては膨大な予算と労力を要することも少なくありません。一定の予算を割いたものの全く成果が出なかったという「最悪のパターン」も十分にあり得ます。予算内で制作できる記事数で、競合サイトを上回ることができるのか。記事毎にどのような内容を記載すべきなのか。どのペルソナ、すなわちニーズ=検索キーワードを優先するのか。これらの実現可能性とSEO戦略の検証を入念に行うことで、成果の不確かさを乗り越え、施策を実行に移すことができました。
結果は見事成功。0から立ち上げたオウンドメディアは約2年の時を経て、月間10万人以上と接点をもち、商品を知ってもらう認知拡大の主軸にまで成長しています。
Webマーケティングのさらなる強化へ
オウンドメディアの立ち上げにて大きな成果を残したことで、メーカーはWebマーケティングの追加予算を設定。そのため、季節性のニーズ高騰に対応する広告運用や、広告用ランディングページの制作へと施策を展開し、こちらも旧来のマス広告と比較して3倍以上のCPA抑制という成果を納めています。
ここでお伝えしたいことは、これらの施策を実施するにあたっての打ち合わせは非常に簡素なものだった、という点です。施策当初に設定したペルソナがあればこそ、必要なのはそれらに沿った媒体選定やクリエイティブの制作だけ。このようなノウハウこそ、マーケティングエージェンシーの腕の見せ所です。
当初はプランナーとSEOコンサルタントのタッグであった施策チームに広告運用担当、クリエイティブ制作担当をアサイン。されども、あくまで最もプロジェクトへの理解が深いプランナーを中心にディレクションすることで、ブレないコンセプトのもと施策を推し進めています。